”COOKIN’”-Miles Davis-

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”COOKIN’”-Miles Davis-

PR7094


生まれて初めて買ったJAZZLP。

きっかけはもちろん映画「死刑台のエレベター」であり、マイルスの別なLPも聴いてみたいという思いからだった。

レコードにVMS-20Eの針を下した瞬間から、このアルバムが持つ雰囲気やサウンドは私にJAZZとはこういう音楽であるという事を強く印象付けしてくれたのです。
そして、このアルバムでコルトレーンやチェンバースなどの素敵なサイドメン達を知る事となりました。

事件とは突然におこるものです。
このアルバムを自作の長岡式バックロードホーン(FP-203入り)で4年間聴き続け、ダイナに入社しJBL S8Rを使うようになり更に4年が経とうとしていた頃のことです。
同僚のY氏が私のAUDIOSYSTEMサウンドを聴きに来たのです。私はこのアルバムの中から名演「マイ・ファニーバレンタイン」を再生した時に事件は起きました。
Y氏が一言

「ポール・チェンバースのベースサウンドはこんなもんじゃない」

私はこの一言に「???」
しかし確かに私はチェンバースのBASSサウンドがどのようなモノであるかなど想像したことも無かったのです。
おまけにY氏は

「こいうBASSサウンドを”ペンペンベース”っていうんだ」

とも言い放ちました。

我ながら賢明だったのは、その言葉に腐らずに「こんなもんじゃない」を10年間考えイメージした事。ウッドベースってどんな風にサウンドするんだろう。スピーカーを前にしてイメージしたり、通勤中の考えたりしたもんだ。

ウッドベースのサウンドは私のAUDIOサウンドの原点であり、常に意識して聴く楽器であります。素敵なベーシストは、レイ・ブラウン。ダグ・ワトキンス。チャールス・ミンガス。などなど。ジミー・ブラントンなんてベーシスト聴いたことありますか。凄すぎて呆れてしまうほど、とてもありがたいと思えるサウンドなんですよ。
彼らがスピーカーの中央上下一直線にサウンドする。スピーカーの左右のバランスが完璧でなければならない。

趣味は個人的な自由な楽しみかもしれない。でも私には「俺の音楽はこんなもんじゃない」と演奏家たちの声が聞こえてくるんだ。

あの時のY氏の一言が無ければ、私の音はいまも演奏家不在の独りよがりのAUDIOサウンドであっただろう。感謝。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

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”Chinatown”-JERRY GOLDSMITH-

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”Chinatown”-JERRY GOLDSMITH-

Victor SWX-7087


ジェリー・ゴールドスミスは私の好きな映画音楽作曲家の一人であります。

1975年だっただろうか。銀座の松竹セントラルでこの映画を観た。オープニングのトランペットが奏でる甘いメロディとサウンドに館内の空気が変わり、1930年代のアメリカ西海岸にタイムスリップしたのを覚えている。

1930年代のロス・アンジェルスを舞台にした探偵劇。しかし内容は単なる探偵劇を超えたサスペンスとロマンに溢れた物語になっている。探偵役のジャク・ニコルソンと相手役のフェイ・ダナウェイは黄金期のハリウッド映画を髣髴とさせる雰囲気と輝きを持って演じているんだ。それらは決してノスタルジーな感覚だけでは無く、今を生きる人々の心にもきっと甘く切なくやるせない感覚を与えてくれることだろう。

「どうしてこんな事が…」

「それは、ここがチャイナタウンだから」
探偵ギティス(ニコルソン)がひとりチャイナタウンを後に去っていくラストシーン。バックで流れる「チャイナタウン〜愛のテーマ」。私がギティスならその場でしゃがみこみ、打ちひしがれているだろう。

観終えたその足ですぐに山野楽器に駆け込み素敵なジャケットのサウンドトラックを手に家路についた。

映画音楽作曲家は観客と映像をより有機的に結び付けるためのとても大切な役割がある。
大作の壮大なテーマ曲や大冒険作品の勇ましいテーマ曲、それらにまつわる愛のテーマなど
役者の心持ちを表現したり、町の風景などを描写したりして画面に寄り添っている。

 


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

 

”Heaven & Hell”-Black Sabbath-

”Heaven & Hell”-Black Sabbath-

Vertigo ‎– 6302 017


Black Sabbathの中で一番好きなジャケットを選ぶならこのHeaven & Hellを挙げます。
天使がカードゲームをしながらタバコを喫む姿は初めて見た時とても幻想的で優美に写りました。
ちなみに私が好きなのは、一番左端の天使です。
クールな様相ですが、カードを1枚しか持っていないのでこの後のドヤ顔が想像出来ます。

ついでに画像検索で出てきたもう一枚

微妙なの

本人たちの顔をはめているのですが、なんとも微妙な1枚で元のジャケットが改めて素晴らしい事を実感いたしました。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター3F・赤塚 昭虎

”Red Curb”-Rei Harakami-

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”Red Curb”-Rei Harakami-

SBLLP018


へなちょこで変ないきものたち。

彼らにいのちを与えるのは紛れもない人間の想像力だ。壊れないように“持ってくる”のはとても難しい。脅かしたりしたらすぐに逃げてしまう。

レイ・ハラカミの音楽は神経質ではないけれど、極めて強力な没頭力によって維持されているように感じる。

彼が亡くなったと知った時、とても悲しかったが、「ああ…やはり早く呼ばれてしまう人だったか」と思った。

彼の生み出した変ないきもたちは、音のなかで今も生きている。


ダイナミックオーディオ企画室・佐藤 泰地

”Jelly Tones”-Ken Ishii-

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”Jelly Tones”-Ken Ishii-

RS 95065


90年代当時世界最高のテクノレーベルだったベルギーの名門R&Sから突如出現した日本人。

その登場の仕方からして、やたらめったらカッコよかった。

”海外で評価された日本人だからすごい”ということではない。当時のテクノという音楽には、作った奴がナニ人か、とかいうことよりも、単純にサウンドに対するリスナーの好奇心の方が上回っていて、結果的に発信者の人種やそれぞれが帰属する文化に対するネガティブな偏見のない開放的な気風があった。そういうところを愛していたし、そういう土俵にちゃん日本人がいることが誇らしかった。

このアルバムをきっかけに、最高のアニメーター森本晃司の名前を覚えた人も多いはず。ビジュアルイメージと相まって映画一本分の妄想を見せてくれます。


ダイナミックオーディオ企画室・佐藤 泰地

”Teddy Wilson And His Orchestra Featuring Billie Holiday”-Teddy Wilson & Billiy Holiday-

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”Teddy Wilson And His Orchestra Featuring Billie Holiday”-Teddy Wilson & Billiy Holiday-

COLUMBIA CL 6040 10 inch


1980年代、ダイナミックオーディオ新宿店で働いていた時は大変だけど楽しかった。
昼飯は10分以内。もちろん中古レコード屋に行くためだ。

三光町交差点近くの細長い雑居ビルにJAZZ中古レコード店「八月社」があった。
多い時は日に2回、昼と夜にお邪魔したものだ。こんな若輩の私にコーヒーを出してくれたりね。

ある日、この「LP名盤だよ」の一言とともに取り出されたそっけないLPジャケット。お店のJBL <L26>からは浸透力のあるサウンドが聴こえる。
アンプはSAUSUI<AU9500>。プレイヤーはガラード<401>とピッカリングの針。

これ自分の装置で聴いたらもっとすごいんじゃないの?なんて早速家の自慢の機器で鳴らすとS(信号)とN(ノイズ)が半分半分の音が出た!!そしてガッカリ。あ〜なんてLPを買ってしまったんだ、と心の中で叫んだものです。確か26歳の時だ。

あれから30年以上、いまではしっかりと音楽だけが、演奏だけが聴こるようになりました。
「What A Little Moonlight Can Do」におけるビリーとベン・ウエブスター(ts)のアドリブ。
「When You’re Smiling」ではビリーとレスター・ヤング(ts)とのアドリブ。圧巻です。

SP時代。両面で8曲の3分間芸術に綺羅星のような演奏家たちがいた。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

 

”THE HUSTLER”-Kenyon Hopkins-

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”THE HUSTLER”-Kenyon Hopkins-

KAPP RECORDS KL-1264


1961年公開作品 監督はロバート・ロッセン。同じ年「ウエストサイド物語」が公開されている。

プールビリヤードの勝負師エディはニューヨークにいるNo.1ハスラーの”ミネソタ・ファツ”と戦い、勝利することによって栄光を手に入れようとしていた。しかし、ファツとの勝負を通して自分の未熟さと傲慢さから最愛の人を失ってしまう。そんな物語。

フィル・ウッズのアルトサックスが奏でる「メインタイトル」を聴けば全てが蘇ります。
もちろんファツとのビリヤードの場面はとてもカッコいいのですが、歳を重ねてくると
前半の恋人との出会いの場面がなぜか心に沁みてくるんですね。
また、ブローカー役のジョージ・C・スコットの演技の上手さとカッコよさに痺れたりと。

そして、国内盤しか持っていなかった私が、中古レコード屋でこのジャケットを柵から見つけた時、思わず声が出た事は言うまでもいありません。ちなみに映っている二人はポール・ニューマン(エディ)とパイパー・ローリー(サラ)

好きな映画と好きな音楽、なんて良いカップルなんだろう。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸