”HODGE PODGE” -Johnny Hodges and his Orchestra –

ジョニーホッジス.jpg

”HODGE PODGE” -Johnny Hodges and his Orchestra –

EPIC LG 3105


これから6枚のエッピックレーベルSteigのコメディージャケットシリーズを見ていただきます。その始まりのLPが1938年〜1939のSP録音の音源を集めた「ホッジ・ポッジ」だ。

いや、久しぶりに6枚のアルバムを取り出しジャケットを眺めたが楽しくもありがたい心持ちになった。
録音は私の生まれる20年前、このアルバムが発売されたのがほぼ私の生まれた年のもので、6人の若きジャズジャイアンツの優れた演奏が選ばれている。

ホッジス名義のオーケストラだがメンバーはエレントン楽団によるスモールコンボで構成されている。

少ないバンド編成にも拘わらず実に重厚なハーモニーが漂ってくる。そして、そのハーモニーを突き抜ける様にしてホッジスのアルトサックスが飛び出す。
SP時代のホッジスのサウンドはLP時代とは少しニュアンスが違い滑らか、ストレートなサウンドでLP時代の重厚さは影を潜めている。
しかし、サウンドのスピードは自在なアドリブと共にどこまでも昇りつめる竜のように天に伸びて行くのです。

“古い演奏”が好きなわけではなくて、“古くならない演奏”が好きなんです。
だから今でも時々はこのシリーズのアルバムを取り出し針を降ろして無垢な心持で音楽を楽しめるか確かめるのです。
ほんとですよ、この演奏はいまでも素敵に私の心に染みわたります。

全てのジャケットには猫のイラストが描かれています。
ハープを伴奏に歌手が気持ちよく歌っている横で頭を抱えている猫はいったい何に困っているのでしょうか…。
私にとっては何故か身につまされる思いですが。

 


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

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”Eric Dolphy at The Five Spot Vol1.”-Eric Dolphy –

Eドリフィー

”Eric Dolphy at The Five Spot Vol1.”-Eric Dolphy –

Prestige/New Jazz 8260


全く内容も知らないでJAZZの名盤として本の批評に出ていたので買った1枚。
購入時はビクター盤で全体が黒色のジャケットだったが、LPを手にした時に重い手ごたえを感じたことを思い出します。

二十歳前…自作のバックロードホーンSPはフォステックスFP203入り、プリメインアンプはダイヤトーンのDA-U850、プレイヤーは自作のケースにビクターTT-41とオーディオテクニカのAT1501/2を組み込んだ物、カーリッジはオルトフォンVMS-20Eだったと思う。
勉強もしないで幼稚な図面を書いたり、どうやってバイトでAUDIOやLPを買うための軍資金を集めようか、なんて事をいつも考えていた。

A面1曲目・・「FIRE WALTZ」マル・ウォルドロンによるピアノのイントロからエリック・ドリフィーのアルトサックスが自作のバックロードホーンから飛び出した時、
”何が始まったのか”と心が乱れたのです。幼い私にとっては未知との遭遇でした。

およそ14分間の修行のような時間が過ぎたのち、今度は2曲目の「BEE VAMP」が始まってしまいました!!
ドリフィーのアルトサックスサウンドにクラクラしたと思ったら、今度はバスクラリネットサウンドの衝撃です。

訳も分からずになぜかひたすら聴いたLP。しかも大音量で。家族にしてみれば一体何を聴いているんだと思った事でしょう。
聴いている私はワクワク、ドキドキですが、家族からは一度も「うるさいとか」「音が大きい」と注意された事がありません。諦めていたのかな?でもありがたかった。

この時の衝撃はマイルスの音楽と共に10代の私にとって忘れる事の出来ない体験として、
今もドリフィーの音楽に対する真面目さ誠実さ真剣さを私に伝えてくれます。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

 

”BLUE’S MOODS”-BILL MITCHELL –

ブルーミッチェル.jpg

”BLUE’S MOODS”-BILL MITCHELL –

Riverside RLP 336


 

これまたなんて瞬間を捉えた写真を気持ちよくジャケットに採用したものだ!!
煙草とJAZZは切っても切れない縁なのか、先にナバロ(Tp)やエバンス(P)も煙草を手にしたLPジャケットがあったな。

この煙草を手にトランペットを吹くミッチェルの姿を収めたカッコいいLPジャケットをそのまま音楽にしたような演奏がA面1曲目にある。
それは 「I’LL CLOSE MY EYES」5分55秒の怪演。

”天晴れ”とはこんな演奏をいうのか。とにかく全員が乗りに乗っている。
ウイントン・ケリーのピアノ、サム・ジョーンズのベーズ、ロイ・ブルックスのドラム。そう、このアルバムはワンホーンアルバムなんです。

ミッチェルの他のアルバムや他のグループに居る時の演奏を聴いたがそんなにワクワクしたりカッコいいなんて印象が殆どないんだ。
そんな印象の無かった彼の音楽をこのジャケットを見た時にはもう忘れていた。とにかく手に入れたいと店のレジに立っていたのです。

ブルー・ミッチェルの人生で一番輝いてる瞬間をLPに収めたじゃないかと勝手に思いを巡らせます。

テーマをシンプルに軽快に歌い上げるミッチェルはヤル気十分だ。ドラムのブルックスは少し出しゃばり気味のシンバルの軽快なリズムで音楽を推進させます。
ジューンズのベースサウンドは重くなく、少し芯が軽いが確りとビートを保持して演奏の脇を締めている。
実は…ミッチェル以上に好調なのがピアノのケリーなんです。
まるでピクニックに出掛ける子供の気持ちのようなアドリブを繰り出すのです。それがどんなに楽しくワクワクするアドリブとピアノタッチなのかは聴いてからのお楽しみ。

たった1曲だけでJAZZファンの心を掴んだブルー・ミッチェルは、このアルバムとこの曲で永遠に忘らるる事がなくなりました。
アルバムに1曲でも大好きな曲があれば良いんです。これもJAZZの好いところなんです。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

 

”GROOVY”-RED GARLAND-

Rガーランド.jpg”GROOVY”-RED GARLAND-

Victor SMJ-6504


 

このアルバムをLPラックから取り出す度に子供(高校生)ながらに「俺カッコいい」なんて勝手に呟いていた。このLPジャケット写真のような街角に佇んでみたいものだと真剣に想像していたな。

10代後半には毎日このLPを聴いていた時があった。
特にA面1曲目の「C JAM BLUES」が鳴り出せばポール・チェンバースのベースラインに合わせて体が勝手にビートを刻むんです。

時は流れ自宅でこのLPやCDを聴く事が無くなり、忘れてはいませんが記憶の中の音楽になりかけていました。

ところが忘れた頃にそのサウンドは突然私の目の前に再び現れたのです。

江東区のお住いのN様宅のSYSTEM でこのアルバムを聴いた時の事です。
N氏のシステムはJBL DD66000RWとLINN KLIMAX KONTROL、KLIMAXSOLO KLIMAX DS。確かKLIMAX SOLOのバージョンアップを行い納品した時でした。
N氏が無造作に「C JAM BLUES」をプレイリストに放り込んだその瞬間、私はアート・テイラーのブラシュがスネアに当たる音にビックリしたのです。
言いようの無い衝撃を覚えた私は、続くポール・チェンバースのベースラインが生き物のように弾むのを聴くのです。
そしてそのリズムとビートに絡むようにレッド・ガーランドのシングルトーンがジャンプしてからはもうただただ唸るだけでした。

生きの良い音楽と形容できる、なんて楽しいテンポの音楽なんだろう、踊りだしたくなる勢いだ。

さて、私は幼い頃一体何を聴いていのだろうか…。

音楽の新鮮さがいま生まれたての音のように聴こえる、1日も早く自分のシステムで聴いてみたい確かめたい。
…後日…

安心しました。私のシステムもしっかりと成長していて同じ気持ちで「GROOVY」でありました。

そんな驚きのサウンドは1956年の録音なんです。

プレステッジレーベルではマイルスのバンドやコルトレーンのバンドで活躍しているガラードは名脇役としてリーダーを支えながら忘れる事の出来ないメロディを私たちに教えてくれました。

聴いたつもりでも、全く聴いた事になっていなかったLP・CD・演奏・音楽…さ〜宝探しだ!


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

 

”Sunday at the Village Vanguard”-Bill Evans-

ビルエバンス.jpg

”Sunday at the Village Vanguard”-Bill Evans-

Riverside RLP 376


ビル・エバンスには素晴らしいアルバムが沢山ある。そして素敵なジャケットのアルバムも沢山あるのです。
煙草を手に真っ白なシャツをラフに着ているエバンスが大きな手をテーブルについて此方をじっと見つめている。もうすでに音楽が聴こえてきそうだ。

エバンスが演奏した曲で一番多く聴いた曲がこのアルバムに収められている「Alice in Wonderland」だ。
曲はディズニーのアニメ映画のために作曲されたもので私はこの曲を映画ですでに聴いていたのです。子供の時に見た印象はとても楽しく、不思議で、怖くて、悲しいと沢山の幼い感情を総動員させられてクラクラしたものです。
特に三月ウサギといかれ帽子屋の場面と、チシャ猫との会話の場面は印象に残っているな(笑)。

さてそんな映像を背負って聴いた「Alice in Wonderland」は全く違和感なく、それどころかあらたな新鮮さで私の心に染み渡ってきたのです。

騒めきのビレッジバンガード。エバンスのピアノがイントロを演奏し始めると誰かのテーブルでコインの回る音がするのが印象的だ。
そしてポール・モチアンのブラッシュプレイがアリスのスキップの様にも聞こえ、エバンスのアドリブがファンタジー感たっぷりにスイングする。
スコット・ラファロのウッドベースはこの夢の世界をたっぷりとした響きで包み込み、奔放なピチカットはユーモアのかたまりなんです。

それにしてもエバンスの神憑り的なアドリブプレイは何所から湧いてくるのだろうか。不思議でありがたい。
ためらいとか迷いとかを一切感じることのない力強いピアノタッチは生命力に溢れベースやドラムにも染み渡るのです。
インタープレイとはこのような演奏をいうのでしょう。

一辺の夢のような物語を体験したような8分30秒は大人になってしまった今の私にもその効力を失いことなく楽しませてくれるのです。

 


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

 

”Kenny Dorham Quintet”-Kenny Dorham-

Kドーハム

”Kenny Dorham Quintet”-Kenny Dorham-

debut DLP-9


私の大好きなLPジャケットベスト10の一枚

ブラックをバックに浮かび上がるトランペットを吹くドーハムはとてもスタイリッシュで粋なんです。そして使われている字体がさらにジャケットの雰囲気を盛り上げてくれている。
もちろん閉じ込められている音楽はLPジャケットが持つオーラーを何倍にも高めて心に響きます。

ところが運悪く私はこのアルバムの存在を、曲を聴く前にジャケット写真で見て知ってしまったのです。その時点では国内盤LPも無く、CDにもなっていません。このアルバムを本で目にした時からどうしても欲しい、そして聴きたい、どんな演奏が閉じ込められているのだろうか、と思いは募るばかりでした。

さて、ケニーはスゴ腕のトランぺッターではありません。音は外すし、ビックサウンドでもないし、圧倒的なアドリブが出来るわけでもありません。
しかし「クワイエット・ケニー」のような50年以上聴き続けられている名盤がある事実。
圧倒的な演奏でなくても人の心に残る、心を離さない演奏もあるのだということをケニーは私に教えてくれました。

オリジナル2曲とスタンダードが4曲…中でも「Be My Love」と「I Love You」は私の大好きな曲なんです。
メロディーを伸び伸びと歌い上げるケニーのバックでJimmy Heathのバリトンサックスサウンドがオブリガートしてくると特別で不思議なサウンドになって漂ってくるのだ。
その響きと、このLPジャケットの雰囲気が見事に一致していると私のAUDIOSYSTEMは教えてくれるのです。

JAZZトランペットはクリフォード・ブラウンが最高だけど、ドーハムのこのアルバムもまた最高なのだ。これがJAZZって、もんでしょう。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

”DADDY PLAYS THE HORN”-Dexter Gordon-

Dゴードン.jpg

”DADDY PLAYS THE HORN”-Dexter Gordon-

BETHLEHEM BCP-36


白をベースに洒落たイラストが描かれたLPは発売から60年も経っているのに驚く程に美しく存在している。私はこの愛すべきLPジャケットを大切に扱い、何回も何回も聴いてきた。

レコードにOFD25を落とすとジャケットの可愛いらしさとは無縁の、男らしいテナーサックスのサウンドが現れる。

人に見た目や個性の差があるようにテナーマンにもサウンドを聴けば「あいつだ」と分かるサウンドがあります。そのなかでも特別なサウンドを持っているのがデクスター・ゴードンではないでしょうか。ロリンズもコルトレーンもホーキンスもレスターも誰もが飛び抜けた個性の持ち主ですが一度聴いたら忘れられないサウンドとして私はゴードンのサックスサウンドをあげます。

男らしいと感じるのは、アドリブのダイナミズムやサウンドの硬さと彫りの深さ、そしてゴードン自身もあきれる程のカッコ良さもだ。

<Autumn in New York>
骨太のピアノトリオメンバーを従えたゴードンが朗々とテーマを歌い上げます。
聴き応えのある音楽というかどっしりとしたビートとリズムはゴードンのサックスのサウンドから生まれているように聴こえる。
一歩一歩足取りを確かめるようにスイングする感じが特別だ。この特別感は「BE-BOP」を生き抜いた者が持つ凄みだろうか。コルトレーンやロリンズには無いスイング感だ。

若いKenny Drewのピアノプレイがフレッシュなアイディアのアドリブでゴードンの音楽に答えるのです。

このLPジャケットはいつ見ても楽しくてね。
でも音道(オトミゾ)にはダンディズムの塊のような聴き応えのあるJAZZが刻まれているのです。

こんな”とうちゃん”はもういないかもしれない。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸