”CHU” -Chu Berry and his Stompy Stevedores Cab Calloway Orchestra Teddy Wilson Orchestra–

チューベリー1.jpg”CHU” -Chu Berry and his Stompy Stevedores
Cab Calloway Orchestra
Teddy Wilson Orchestra–

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さーこのシリーズの最後を飾るのがテナーサックス奏者のチュー・ベリーです。

豪快でモダンな表現もできるチューはベリガンと同じ1908年生まれ、そしてなんと1941年不幸にも事故死でこの世を去って行ってしまいました。
当時から名を馳せた名サックス奏者として、年配のJAZZファンから時折話を聞く事があったが、レコードの存在は殆ど知るよしもなかった。

この時代のJAZZを聴いていると当時のアメリカは豊かだったと思ってしまう。そして優れた才能を持った黒人たちが音楽に携わり、白人をよそに音楽界の一翼を担っていました。
音楽でなら白人と対等に、いやそれ以上の事ができる、と。差別は別としても、<良い演奏は良い>と評価できる国であったからJAZZが栄えたと思います。
現代は…JAZZのパワーが落ちたのか、減ってしまったのか、優れた黒人がJAZZの演奏をしなくなったのか、物足りなさを感じるのは私だけでしょうか。
この6枚、1937年〜1941年に記録された音楽と演奏は今でも生き生きとリズムとビートを刻んでくれて、私を楽しませてくれます。
心持ちを素直にうまく再生出れば、ですがね。

さてここは間違いなくBAR。高椅子のしかも上の段に足を掛け、各々の姿勢や佇まいで何かに心を奪われています。なんと仕事を忘れてバーテンダーまでもが…何に?もちろん音楽で、もちろんJAZZであります。
BARでは酒と煙草はつきもの、私は煙草はたしなみませんが、お酒はほどほどに好きであります。
でもBARで一人で飲むなんて事は下町育ちの私にはムリ…もっぱら京成立石で一人飲みです。店には音楽もなく黙々とモツと焼酎をあおってさっと土産を買って帰ります。
だけどそんな帰り道の足取りには、この6枚の音楽が実に合うんです。

道端で猫を見つけるとついしゃがんで手を出し、寄って来ないかと声を掛けしまいます。私ただの猫好きです。以上


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

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”TAKE IT, BUNNY ! ” -Bunny Berigan and his Boys–

バニーベリガン.jpg”TAKE IT, BUNNY ! ” -Bunny Berigan and his Boys–

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「I Can’t Get Started with You」(言い出しかねて)でアメリカ中を虜にした名曲であり名演奏であります。

バニー・ベリガンが1937年に録音した演奏が収められている。
彼は1908年生まれ。1942年死去とこの世にたった34年しか留まることが出来なかったけれども、この1曲で音楽界に永遠の名を刻むことになりました。
若い頃はベニー・グットマン楽団やトミー・ドーシーで活躍、若くして自己の楽団を持つようになったのだが、病魔には勝つことが出来なかった。
素敵なベリガンのトランペットソロは歌で聴くよりなぜか心に響く。

ベリガンのLPをこの1枚しか持っていないが、この代表曲はRCA盤の30cmSPで持っていんです。
さて、このSP盤がなぜ私の手元にあるのか…昔のお話。
JAZZの好きのお客様とお話をしていると「今度ニューヨークに行くんだ」と。
レコード店巡りをするというので、ニューヨークで一番在庫のあるSPレコード店の住所を伝えて(行ったことないのに知っている)レコードを買ってくれないかと頼んだのです。
今考えれば無謀なお願いでしたが、お客様は即座に「いいよ」と言ってくれ、すぐにリストをお渡ししました。
私のリクエストはビリー・ホリデー/テディ・ウイルソンによる【フォエン・ユア・スマイリング】と、この【言い出しかねて】でした。
数か月後…なんとこの方は、おまけにリー・ワイリーの【シュガー】まで買ってきてくれたのでした。感謝感激雨霰、この時の私の気持ちです
SP盤を割れない様に大切に地球の裏側から持ってきてくれたお客様の「Y様」ありがとうございます。

ところが、話には続きがあって、実はこのSP盤は反っていて再生すると針が飛ぶのです。
ぐっと聴きたい気持ちを抑えて、”とある場所”にしまって保管、その存在を忘れること10年(汗)、SP盤は見事に真っすぐに復元。早速QRKのプレイヤーに盤をセットしてソノボックスのSPカートリッジを溝に導くと…

往年のモノクロ映画を2時間観たような満足感がこの5分の中に潜んでいました。
とても豊かで華やかなそれでいて慈愛のある雰囲気を感じてしまうのはバニー・ベリガンが真の演奏家だからだろう。
年に2回はこのジャケットを取り出してRCAのSP盤で「言い出しかねて」を聴きます。

そしてこのLPジャケット。ソックスガーターをした下着姿の男がトランペット吹く。ここにも煙草とお酒があり素敵な音楽を奏でているのだろう。
猫は相棒なのか、何故か態度がでかいのがイイ。
大きなトランクは旅の途中。勝手な想像だが「男はつらいよ」の車寅次郎を連想してしまうのです。
そして寅次郎と「言い出しかねて」がどうしてもダブるのです。私の勝手な思いですが。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

”THE DUKE’S MEN” -Barney Bigard and his Jazzopaters Rex Stewart and his 52nd Street Stompers Johnny Hodges and his orchestra Coote Williams and his Rug Cutters–

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”THE DUKE’S MEN” -Barney Bigard and his Jazzopaters
Rex Stewart and his 52nd Street Stompers
Johnny Hodges and his orchestra
Coote Williams and his Rug Cutters–

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さあ猫シリーズ後半の3枚だ。「THE DUKE’S MEN」とはエリントン楽団に参加していたメンバーの事なんです。
エリントン楽団の素晴らしさはエリントンを筆頭に、各楽器の演奏家の際立った個性の集合体としてのサウンドであります。このアルバムを聴けば往年のエリントン楽団の栄光のソリスト達の演奏を聴くことが出来ます。

B面の1曲目「The Rabbit’S jump」はホッジス名義の楽団の演奏。
ホッジスにはあだ名があって「Rabbit」と言われていたが、この意味は「絶倫」と言うことらしい!!この時代、生のホッジスのサウンドを聴いた達人の演奏家が形容した言葉だ。どんなに凄かったのだろう。
ホッジスの生演奏を聴いたことが無い私は、60年代のLPのサウンドを聴くにつけ40年代のホッジスの凄さはどれほどなんだろうと思うんだ。

少しAUDIOの話を。物好きな私は20歳を過ぎた頃からどうしてもSPU-Aと同型のMONO専用カートリッジCA-25Dを使いたくて、うずうずしていました。
というのも、MONO録音しか存在しなかった時代のLPをその時代に存在していたカートリッジで聴きたいと思っていたからです。
それまでSPU-AEで古いMONO盤のLPを聴いていて、日本盤のMONOレコードでは再生にそれほどの不満は無かったのですが、集め始めていたアメリカ盤のMONOレコードでは、音源とトレース時に発生する雑音とが混ざってしまうような感じで、これは聴きづらかった。はじめはレコード盤の状態が悪いのではないかと諦めていたその時、思い出したのが、CA-25Dの存在でした。
SPU-AEから針圧を変更するだけ(4g以上をその時々で変えて使っていた)でそのまま使える便利さ、もちろんMCトランスはいらない。
使い方に慣れると音に変化が表れてきて、音楽とトレース時のノイズが混ざる事無く、くっきりと分かれて音楽だけが鮮明に聴こえてきたので!!

さてジャケット。酔っぱらっているのか悦にいってるのか、大男が寝転がっている。そしてその上には猫が4匹。
各猫はバンドのリーダー達だろうか、3匹は上を、1匹は男を見ているのはなぜなのか。寝ている男がエリントンとは考えづらいが、この男の置かれた状況に何故か憧れる私であります。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

”LESTER LEAPS IN” -Count Basie and his Orchestra Featuring Lester Young–

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”LESTER LEAPS IN” -Count Basie and his Orchestra Featuring Lester Young–

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さて2枚のアルバムを聴いてきましたが、このアルバムがプレイヤーにセットされ音楽がスピーカーから飛び出した瞬間に、今までとは全く違う世界観が部屋に現れ驚いた。

このアルバムのスターはもちろんテナーサックス奏者のレスター・ヤングだがベイシー楽団のリズムセクションはレスターがより気持ち良くスイングするように最高のビートとリズムを提供してくれている。演奏を聴いているとあっという間に右足が音楽のテンポにあわせて動き出すのは今までの2枚には無かったことだ。

レスターはスイングの権化でもありモダンジャズ奏者達にも多大なる影響を与えた演奏家でもあります。
メタル感の無いソフトで豊かなテナーサックスサウンド、そして時にオリジナル楽曲のテーマを超えてしまうようなアドリブを披露して私達を驚かせてくれます。
SP録音の音源を3分間芸術なんて言ったもんですが、たったの3分間で!各メンバーが交代でアドリブソロを全うするスリルとその完成度に「いったい演奏は本当に進歩してきたのだろうか」と感じずにはいられません。

全員がカッコいいですね。

ジャケットはレスターのアルバムなのに何故か猫がトランペットを持っています。そしてその猫を見て首をすぼめて凝視する紳士?これはジョークか。
そしてなぜかお互いに煙草を持っているのですが、さてJAZZに煙草は付き物か。そんなJAZZ好きの私は煙草を吸いませんがね。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

”THE HACKETT HORN” -Bobby Hackett and his Orchestra –

ボビーハケット

”THE HACKETT HORN” -Bobby Hackett and his Orchestra –

EPIC LG 3106


ボビー・ハケットは先のリー・ワイリーのレコードで参加しいたコルネット奏者だ。
録音は1938年から1940年にかけて、オーケストラといっても私が知っているメンバーはクラリネットのピー・ウィー・ラッセルとギターのエディ・コンドンで、ほかのメンバーについては全く初めて聞くメンバーばかりだ。

しかしであります。そんな不安?をよそにレコードを聴けばミラーボールが回る高級クラブの雰囲気が部屋に漂うのです。
何と言ったらいいのだろうか高級感なんていったら安っぽいかもしれないが、じつにリッチな気持ちになるんだな。

いきなりそんな風に聴こえた訳じゃない。初めて自宅で聴いた時はお化け屋敷で聴いているようなサウンドだった。
そんなお化け屋敷のようなサウンドを大メーカーのEPICが販売する訳が在りませんよね。しかもシリーズで。

なんか試されている感じが漂いますよね。
そんな豪華なサウンドも私だけの感じ方かもしれません。それが少し怖いですが。

さて、クラブでしょうか?バーでしょうか?二人の男女がお酒と煙草をたしなんでおりますね。そして二人の間の空間には何故か猫が浮いて。
何をどう想像するかはこのジャケットを見た人の胸の内、もちろん中の音楽もであります。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

”HODGE PODGE” -Johnny Hodges and his Orchestra –

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”HODGE PODGE” -Johnny Hodges and his Orchestra –

EPIC LG 3105


これから6枚のエッピックレーベルSteigのコメディージャケットシリーズを見ていただきます。その始まりのLPが1938年〜1939のSP録音の音源を集めた「ホッジ・ポッジ」だ。

いや、久しぶりに6枚のアルバムを取り出しジャケットを眺めたが楽しくもありがたい心持ちになった。
録音は私の生まれる20年前、このアルバムが発売されたのがほぼ私の生まれた年のもので、6人の若きジャズジャイアンツの優れた演奏が選ばれている。

ホッジス名義のオーケストラだがメンバーはエレントン楽団によるスモールコンボで構成されている。

少ないバンド編成にも拘わらず実に重厚なハーモニーが漂ってくる。そして、そのハーモニーを突き抜ける様にしてホッジスのアルトサックスが飛び出す。
SP時代のホッジスのサウンドはLP時代とは少しニュアンスが違い滑らか、ストレートなサウンドでLP時代の重厚さは影を潜めている。
しかし、サウンドのスピードは自在なアドリブと共にどこまでも昇りつめる竜のように天に伸びて行くのです。

“古い演奏”が好きなわけではなくて、“古くならない演奏”が好きなんです。
だから今でも時々はこのシリーズのアルバムを取り出し針を降ろして無垢な心持で音楽を楽しめるか確かめるのです。
ほんとですよ、この演奏はいまでも素敵に私の心に染みわたります。

全てのジャケットには猫のイラストが描かれています。
ハープを伴奏に歌手が気持ちよく歌っている横で頭を抱えている猫はいったい何に困っているのでしょうか…。
私にとっては何故か身につまされる思いですが。

 


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸