”CHU” -Chu Berry and his Stompy Stevedores Cab Calloway Orchestra Teddy Wilson Orchestra–

チューベリー1.jpg”CHU” -Chu Berry and his Stompy Stevedores
Cab Calloway Orchestra
Teddy Wilson Orchestra–

EPIC LG 3124


さーこのシリーズの最後を飾るのがテナーサックス奏者のチュー・ベリーです。

豪快でモダンな表現もできるチューはベリガンと同じ1908年生まれ、そしてなんと1941年不幸にも事故死でこの世を去って行ってしまいました。
当時から名を馳せた名サックス奏者として、年配のJAZZファンから時折話を聞く事があったが、レコードの存在は殆ど知るよしもなかった。

この時代のJAZZを聴いていると当時のアメリカは豊かだったと思ってしまう。そして優れた才能を持った黒人たちが音楽に携わり、白人をよそに音楽界の一翼を担っていました。
音楽でなら白人と対等に、いやそれ以上の事ができる、と。差別は別としても、<良い演奏は良い>と評価できる国であったからJAZZが栄えたと思います。
現代は…JAZZのパワーが落ちたのか、減ってしまったのか、優れた黒人がJAZZの演奏をしなくなったのか、物足りなさを感じるのは私だけでしょうか。
この6枚、1937年〜1941年に記録された音楽と演奏は今でも生き生きとリズムとビートを刻んでくれて、私を楽しませてくれます。
心持ちを素直にうまく再生出れば、ですがね。

さてここは間違いなくBAR。高椅子のしかも上の段に足を掛け、各々の姿勢や佇まいで何かに心を奪われています。なんと仕事を忘れてバーテンダーまでもが…何に?もちろん音楽で、もちろんJAZZであります。
BARでは酒と煙草はつきもの、私は煙草はたしなみませんが、お酒はほどほどに好きであります。
でもBARで一人で飲むなんて事は下町育ちの私にはムリ…もっぱら京成立石で一人飲みです。店には音楽もなく黙々とモツと焼酎をあおってさっと土産を買って帰ります。
だけどそんな帰り道の足取りには、この6枚の音楽が実に合うんです。

道端で猫を見つけるとついしゃがんで手を出し、寄って来ないかと声を掛けしまいます。私ただの猫好きです。以上


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

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”TAKE IT, BUNNY ! ” -Bunny Berigan and his Boys–

バニーベリガン.jpg”TAKE IT, BUNNY ! ” -Bunny Berigan and his Boys–

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「I Can’t Get Started with You」(言い出しかねて)でアメリカ中を虜にした名曲であり名演奏であります。

バニー・ベリガンが1937年に録音した演奏が収められている。
彼は1908年生まれ。1942年死去とこの世にたった34年しか留まることが出来なかったけれども、この1曲で音楽界に永遠の名を刻むことになりました。
若い頃はベニー・グットマン楽団やトミー・ドーシーで活躍、若くして自己の楽団を持つようになったのだが、病魔には勝つことが出来なかった。
素敵なベリガンのトランペットソロは歌で聴くよりなぜか心に響く。

ベリガンのLPをこの1枚しか持っていないが、この代表曲はRCA盤の30cmSPで持っていんです。
さて、このSP盤がなぜ私の手元にあるのか…昔のお話。
JAZZの好きのお客様とお話をしていると「今度ニューヨークに行くんだ」と。
レコード店巡りをするというので、ニューヨークで一番在庫のあるSPレコード店の住所を伝えて(行ったことないのに知っている)レコードを買ってくれないかと頼んだのです。
今考えれば無謀なお願いでしたが、お客様は即座に「いいよ」と言ってくれ、すぐにリストをお渡ししました。
私のリクエストはビリー・ホリデー/テディ・ウイルソンによる【フォエン・ユア・スマイリング】と、この【言い出しかねて】でした。
数か月後…なんとこの方は、おまけにリー・ワイリーの【シュガー】まで買ってきてくれたのでした。感謝感激雨霰、この時の私の気持ちです
SP盤を割れない様に大切に地球の裏側から持ってきてくれたお客様の「Y様」ありがとうございます。

ところが、話には続きがあって、実はこのSP盤は反っていて再生すると針が飛ぶのです。
ぐっと聴きたい気持ちを抑えて、”とある場所”にしまって保管、その存在を忘れること10年(汗)、SP盤は見事に真っすぐに復元。早速QRKのプレイヤーに盤をセットしてソノボックスのSPカートリッジを溝に導くと…

往年のモノクロ映画を2時間観たような満足感がこの5分の中に潜んでいました。
とても豊かで華やかなそれでいて慈愛のある雰囲気を感じてしまうのはバニー・ベリガンが真の演奏家だからだろう。
年に2回はこのジャケットを取り出してRCAのSP盤で「言い出しかねて」を聴きます。

そしてこのLPジャケット。ソックスガーターをした下着姿の男がトランペット吹く。ここにも煙草とお酒があり素敵な音楽を奏でているのだろう。
猫は相棒なのか、何故か態度がでかいのがイイ。
大きなトランクは旅の途中。勝手な想像だが「男はつらいよ」の車寅次郎を連想してしまうのです。
そして寅次郎と「言い出しかねて」がどうしてもダブるのです。私の勝手な思いですが。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

”LESTER LEAPS IN” -Count Basie and his Orchestra Featuring Lester Young–

レスターヤング.jpg

”LESTER LEAPS IN” -Count Basie and his Orchestra Featuring Lester Young–

EPIC LG 3107


さて2枚のアルバムを聴いてきましたが、このアルバムがプレイヤーにセットされ音楽がスピーカーから飛び出した瞬間に、今までとは全く違う世界観が部屋に現れ驚いた。

このアルバムのスターはもちろんテナーサックス奏者のレスター・ヤングだがベイシー楽団のリズムセクションはレスターがより気持ち良くスイングするように最高のビートとリズムを提供してくれている。演奏を聴いているとあっという間に右足が音楽のテンポにあわせて動き出すのは今までの2枚には無かったことだ。

レスターはスイングの権化でもありモダンジャズ奏者達にも多大なる影響を与えた演奏家でもあります。
メタル感の無いソフトで豊かなテナーサックスサウンド、そして時にオリジナル楽曲のテーマを超えてしまうようなアドリブを披露して私達を驚かせてくれます。
SP録音の音源を3分間芸術なんて言ったもんですが、たったの3分間で!各メンバーが交代でアドリブソロを全うするスリルとその完成度に「いったい演奏は本当に進歩してきたのだろうか」と感じずにはいられません。

全員がカッコいいですね。

ジャケットはレスターのアルバムなのに何故か猫がトランペットを持っています。そしてその猫を見て首をすぼめて凝視する紳士?これはジョークか。
そしてなぜかお互いに煙草を持っているのですが、さてJAZZに煙草は付き物か。そんなJAZZ好きの私は煙草を吸いませんがね。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

”BLUE’S MOODS”-BILL MITCHELL –

ブルーミッチェル.jpg

”BLUE’S MOODS”-BILL MITCHELL –

Riverside RLP 336


 

これまたなんて瞬間を捉えた写真を気持ちよくジャケットに採用したものだ!!
煙草とJAZZは切っても切れない縁なのか、先にナバロ(Tp)やエバンス(P)も煙草を手にしたLPジャケットがあったな。

この煙草を手にトランペットを吹くミッチェルの姿を収めたカッコいいLPジャケットをそのまま音楽にしたような演奏がA面1曲目にある。
それは 「I’LL CLOSE MY EYES」5分55秒の怪演。

”天晴れ”とはこんな演奏をいうのか。とにかく全員が乗りに乗っている。
ウイントン・ケリーのピアノ、サム・ジョーンズのベーズ、ロイ・ブルックスのドラム。そう、このアルバムはワンホーンアルバムなんです。

ミッチェルの他のアルバムや他のグループに居る時の演奏を聴いたがそんなにワクワクしたりカッコいいなんて印象が殆どないんだ。
そんな印象の無かった彼の音楽をこのジャケットを見た時にはもう忘れていた。とにかく手に入れたいと店のレジに立っていたのです。

ブルー・ミッチェルの人生で一番輝いてる瞬間をLPに収めたじゃないかと勝手に思いを巡らせます。

テーマをシンプルに軽快に歌い上げるミッチェルはヤル気十分だ。ドラムのブルックスは少し出しゃばり気味のシンバルの軽快なリズムで音楽を推進させます。
ジューンズのベースサウンドは重くなく、少し芯が軽いが確りとビートを保持して演奏の脇を締めている。
実は…ミッチェル以上に好調なのがピアノのケリーなんです。
まるでピクニックに出掛ける子供の気持ちのようなアドリブを繰り出すのです。それがどんなに楽しくワクワクするアドリブとピアノタッチなのかは聴いてからのお楽しみ。

たった1曲だけでJAZZファンの心を掴んだブルー・ミッチェルは、このアルバムとこの曲で永遠に忘らるる事がなくなりました。
アルバムに1曲でも大好きな曲があれば良いんです。これもJAZZの好いところなんです。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

 

”Sunday at the Village Vanguard”-Bill Evans-

ビルエバンス.jpg

”Sunday at the Village Vanguard”-Bill Evans-

Riverside RLP 376


ビル・エバンスには素晴らしいアルバムが沢山ある。そして素敵なジャケットのアルバムも沢山あるのです。
煙草を手に真っ白なシャツをラフに着ているエバンスが大きな手をテーブルについて此方をじっと見つめている。もうすでに音楽が聴こえてきそうだ。

エバンスが演奏した曲で一番多く聴いた曲がこのアルバムに収められている「Alice in Wonderland」だ。
曲はディズニーのアニメ映画のために作曲されたもので私はこの曲を映画ですでに聴いていたのです。子供の時に見た印象はとても楽しく、不思議で、怖くて、悲しいと沢山の幼い感情を総動員させられてクラクラしたものです。
特に三月ウサギといかれ帽子屋の場面と、チシャ猫との会話の場面は印象に残っているな(笑)。

さてそんな映像を背負って聴いた「Alice in Wonderland」は全く違和感なく、それどころかあらたな新鮮さで私の心に染み渡ってきたのです。

騒めきのビレッジバンガード。エバンスのピアノがイントロを演奏し始めると誰かのテーブルでコインの回る音がするのが印象的だ。
そしてポール・モチアンのブラッシュプレイがアリスのスキップの様にも聞こえ、エバンスのアドリブがファンタジー感たっぷりにスイングする。
スコット・ラファロのウッドベースはこの夢の世界をたっぷりとした響きで包み込み、奔放なピチカットはユーモアのかたまりなんです。

それにしてもエバンスの神憑り的なアドリブプレイは何所から湧いてくるのだろうか。不思議でありがたい。
ためらいとか迷いとかを一切感じることのない力強いピアノタッチは生命力に溢れベースやドラムにも染み渡るのです。
インタープレイとはこのような演奏をいうのでしょう。

一辺の夢のような物語を体験したような8分30秒は大人になってしまった今の私にもその効力を失いことなく楽しませてくれるのです。

 


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

 

”A Night at The Village Vanguard”-Sonny Rollins-

SR1

”A Night at The Village Vanguard”-Sonny Rollins-

BLP1581 (NYC)


 

JAZZの名盤であることは、ものの本で知っていたが、本当に名盤である事を音で知るまでには何年も何年ももかかってしまった。

それにしても一度見たら忘れることの出来ないLPジャケットの1枚ではないだろうか。
サングラスを掛けたロリンズのアップ…正直圧倒される。フランシス・ウォルフのオリジナル全体写真を見てみたいものだ。

10代の頃の皆さん共通の思いかな、初めて聴くLP(音楽)は期待に胸を膨らませて感動を与えてくれる内容であると。私もそうだ。ブルーノートレーベルでソニー・ロリンズで悪い訳がないと…。2年間ぐらいは聴いたがしばらくはこのLPがターンテーブルに乗ることは無かった。
名盤=名演奏=名録音、そんな思いが聴く前からイメージとして出来上がっていたんだ。
当時の私がきく限り録音がいいなんてとても思えないサウンドがスピーカーから出てきた。
テナーサックスはのっぺり鳴り、ベースはブワン・ブワンと響き、ドラムは奥のほうから小さくパタパタと聴こえる。
何回も聴いて自分なりに努力もした。が、何らかの結果を出すまでには至らなかった

このアルバムを再確認したのはHDTからダウンロードしたハイレゾ音源を入手したのがキッカケだった。
KLIMAX DSを通して「朝日のようにさわやかに」を選曲すると、初めて聴くような新鮮さと迫力に思わず座り直したほどだ。
エルビンの唸り声が音楽の一部となってグルーブしてくる。ロリンズのサックスは野生的でしかも爽やかだ。そしてとてつもない立体感。
続くウイルバー・ウエアのベースソロはまるで地面に杭を打ち込むようなサウンドで、指2本で弦を弾いて出る音とは思えないものだ。
ウエアはジャケット裏面を見れば分かるがとても小柄なベーシストなんですよ。

さてラストはエルビンとロリンズとの掛け合い。ブラシュでスキンを叩いてどうしてこんな音が出せるんだ。そしてバスドラは…唖然。
凄い凄いとワクワクしながら、驚きながら8分間のドラマを満喫した。
その後EMT930stの電源を入れて準備を始め、落ち着いてからOFD-25を同じLPに乗せた。

何も問題は無い。ほんの少しだけテイストが違うだけで過去に聴いた悪い印象はみじんも感じられない。ただ、FLACで聴くアルバムのサウンドは私に新鮮な感情を思い起こさせてくれたことに間違いはない。そしてこのLPの実力を再認識させてくれた。

皆さん、最近新鮮な気持ちを音楽で感じたことありますか。

【オマケ】横の写真は煙草を咥えたセロニアス・モンクです。写真家の阿部 克自氏のオリジナルプリントで、縁あってAUDIOのメンテナンスをした時に頂きました。
笑い話をひとつ。ホテルでのインタビュー、阿部さんが風呂上がりのモンクを写真に取ると、顔すべてが真っ黒で白目と歯が少し見えるだけだったそうです。
もちろんプリント後に分かったのでおおいに焦ったそうです。きっとカサカサのお肌だったのでしょう。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

”Chinatown”-JERRY GOLDSMITH-

チャイナタウン.jpg

”Chinatown”-JERRY GOLDSMITH-

Victor SWX-7087


ジェリー・ゴールドスミスは私の好きな映画音楽作曲家の一人であります。

1975年だっただろうか。銀座の松竹セントラルでこの映画を観た。オープニングのトランペットが奏でる甘いメロディとサウンドに館内の空気が変わり、1930年代のアメリカ西海岸にタイムスリップしたのを覚えている。

1930年代のロス・アンジェルスを舞台にした探偵劇。しかし内容は単なる探偵劇を超えたサスペンスとロマンに溢れた物語になっている。探偵役のジャク・ニコルソンと相手役のフェイ・ダナウェイは黄金期のハリウッド映画を髣髴とさせる雰囲気と輝きを持って演じているんだ。それらは決してノスタルジーな感覚だけでは無く、今を生きる人々の心にもきっと甘く切なくやるせない感覚を与えてくれることだろう。

「どうしてこんな事が…」

「それは、ここがチャイナタウンだから」
探偵ギティス(ニコルソン)がひとりチャイナタウンを後に去っていくラストシーン。バックで流れる「チャイナタウン〜愛のテーマ」。私がギティスならその場でしゃがみこみ、打ちひしがれているだろう。

観終えたその足ですぐに山野楽器に駆け込み素敵なジャケットのサウンドトラックを手に家路についた。

映画音楽作曲家は観客と映像をより有機的に結び付けるためのとても大切な役割がある。
大作の壮大なテーマ曲や大冒険作品の勇ましいテーマ曲、それらにまつわる愛のテーマなど
役者の心持ちを表現したり、町の風景などを描写したりして画面に寄り添っている。

 


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸