”BACH The Cello Suites ” — JIAN WANG –

BACH The Cello Suites — JIAN WANG –

Grammophon UCCG-1238/9

# No3 Srabande


 

マラソン試聴会最後の曲はBACHをLINN Exakt AKUBARIK と KLIMAX Exakt DSM/1 でFLAC音源でお聴き頂きました。

パブロ・カザルス以降たくさんの名演奏家達がバッハの無伴奏チェロ組曲を録音してきた。
もちろん私はその全てを聴いていないし、これからも聴き尽くすことはできないだろう。
カザルス以外にどのようにこの名曲を演奏すればいいのか、多くの演奏家がこの大きな壁を意識しないことは無いだろうと想像してしまう。

五味康佑氏の「西方の音」にはカザルスの事は「大カザルス」と書かれている…

今まで私はカザルス、フルニエ、ビルスマ、が演奏する3組のバッハの無伴奏チェロ組曲を持っていたが新しくジャン・ワンの演奏が加わり、その時々によく聴いている。
特別な事や、奇をてらう様な事もなく淡々とした演奏なのだが何故か私の心を掴んで離さないのだ。

ワンの事はバッハの演奏以前にピリシュとデュメイとのトリオによるブラームスやモーツアルトでの素晴らしい共演で知ってはいた。
ピリシュとデュメイが選んだチェリストだから悪い訳がない、それどころか音楽全体をナイーブで彫りの深い豊かなサウンドでしっかりと支えていると。
特にブラームスの演奏が素晴らしい。

BACH…それぞれの演奏家にとってのバッハこそが、私にとってのバッハにほかならない。
私は譜面は読めないし何一つとして楽器も演奏できない。でも自分に必要な演奏家は選べるように時間を費やしてきた。
そして最近の新譜ではこのワンのバッハの演奏は秀逸であると私の心は反応するのです。
深い呼吸を意識させる一音、血が通っているかのような響き、この音楽を大切に思う気持ちが歌として届く温かさ、そして誠実さ。
ワンという人間のすべてがバッハの音楽を通して聴こえてくるようだ。

バッハの音楽とは人そのものを表すようで時として怖さを感じる時がある。それはAUDIOで再生する時にすら。

LINNのデジタルシステムはワンがバッハの譜面を読み解くように信号を音楽へと変換してくれたと思う。
圧倒的な静けさ、音速、そして安定感、シンプルこそがこのシステムの持ち味だ。
しかし道は沢山あるものだとも思う。でも常に音楽からオーディオを見つめていたい。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

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