”Sunday at the Village Vanguard”-Bill Evans-

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”Sunday at the Village Vanguard”-Bill Evans-

Riverside RLP 376


ビル・エバンスには素晴らしいアルバムが沢山ある。そして素敵なジャケットのアルバムも沢山あるのです。
煙草を手に真っ白なシャツをラフに着ているエバンスが大きな手をテーブルについて此方をじっと見つめている。もうすでに音楽が聴こえてきそうだ。

エバンスが演奏した曲で一番多く聴いた曲がこのアルバムに収められている「Alice in Wonderland」だ。
曲はディズニーのアニメ映画のために作曲されたもので私はこの曲を映画ですでに聴いていたのです。子供の時に見た印象はとても楽しく、不思議で、怖くて、悲しいと沢山の幼い感情を総動員させられてクラクラしたものです。
特に三月ウサギといかれ帽子屋の場面と、チシャ猫との会話の場面は印象に残っているな(笑)。

さてそんな映像を背負って聴いた「Alice in Wonderland」は全く違和感なく、それどころかあらたな新鮮さで私の心に染み渡ってきたのです。

騒めきのビレッジバンガード。エバンスのピアノがイントロを演奏し始めると誰かのテーブルでコインの回る音がするのが印象的だ。
そしてポール・モチアンのブラッシュプレイがアリスのスキップの様にも聞こえ、エバンスのアドリブがファンタジー感たっぷりにスイングする。
スコット・ラファロのウッドベースはこの夢の世界をたっぷりとした響きで包み込み、奔放なピチカットはユーモアのかたまりなんです。

それにしてもエバンスの神憑り的なアドリブプレイは何所から湧いてくるのだろうか。不思議でありがたい。
ためらいとか迷いとかを一切感じることのない力強いピアノタッチは生命力に溢れベースやドラムにも染み渡るのです。
インタープレイとはこのような演奏をいうのでしょう。

一辺の夢のような物語を体験したような8分30秒は大人になってしまった今の私にもその効力を失いことなく楽しませてくれるのです。

 


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸

 

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