”DADDY PLAYS THE HORN”-Dexter Gordon-

”DADDY PLAYS THE HORN”-Dexter Gordon-

BETHLEHEM BCP-36


白をベースに洒落たイラストが描かれたLPは発売から60年も経っているのに驚く程に美しく存在している。私はこの愛すべきLPジャケットを大切に扱い、何回も何回も聴いてきた。

レコードにOFD25を落とすとジャケットの可愛いらしさとは無縁の、男らしいテナーサックスのサウンドが現れる。

人に見た目や個性の差があるようにテナーマンにもサウンドを聴けば「あいつだ」と分かるサウンドがあります。そのなかでも特別なサウンドを持っているのがデクスター・ゴードンではないでしょうか。ロリンズもコルトレーンもホーキンスもレスターも誰もが飛び抜けた個性の持ち主ですが一度聴いたら忘れられないサウンドとして私はゴードンのサックスサウンドをあげます。

男らしいと感じるのは、アドリブのダイナミズムやサウンドの硬さと彫りの深さ、そしてゴードン自身もあきれる程のカッコ良さもだ。

<Autumn in New York>
骨太のピアノトリオメンバーを従えたゴードンが朗々とテーマを歌い上げます。
聴き応えのある音楽というかどっしりとしたビートとリズムはゴードンのサックスのサウンドから生まれているように聴こえる。
一歩一歩足取りを確かめるようにスイングする感じが特別だ。この特別感は「BE-BOP」を生き抜いた者が持つ凄みだろうか。コルトレーンやロリンズには無いスイング感だ。

若いKenny Drewのピアノプレイがフレッシュなアイディアのアドリブでゴードンの音楽に答えるのです。

このLPジャケットはいつ見ても楽しくてね。
でも音道(オトミゾ)にはダンディズムの塊のような聴き応えのあるJAZZが刻まれているのです。

こんな”とうちゃん”はもういないかもしれない。


ダイナミックオーディオ・トレードセンター店長・厚木 繁伸